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Guest Opinion on International Remittances by Ripple

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発展途上国で見られる国際送金を行う上での問題点は、金融システム業界においても共通する課題である。この課題に対処すべく、政府・民間企業・テクノロジー業界が様々な対応策を行っているが、最も必要なのはオープンソースや中立的な基準を備えた決済システムの完備である。決済システムの改善は経済のエコシステム全体に大きな変革をもたらすという点で重要であるため、リップル社はその技術を以て国際的アクターと協働していくことで、エコシステム全体の発展に寄与していく意向を示している。

2015年11月

Danny Arandaはリップル社の事業開発ディレクターであり、金融機関や支払会社、技術パートナー間でのエコシステム(注)の構築を主導している。リップルに先駆け、Dannyは企業の慈善寄付金を収集するプラットフォームを設立し、メディアや技術に注目し合併や買収を行う証券引受業者としてのキャリアを積んでいた。

(注)エコシステム…経済的な依存関係や協調関係、または強者を頂点とする新たな成長分野でのピラミッド型の産業構造といった、新規な産業体系を構成しつつある発展途上の分野での企業間の連携関係全体。一般にIT分野や新エネルギー分野での新たなビジネス領域を指すことが比較的多いが、企業間の役割と関連性やそれぞれの収益性を論じるほど明確なビジネスモデルは確立していないあいまいな状態を指す傾向がある。エコシステムは、日本では、このようにメディアで企業間の事業連携協業を指すケースが多い。一方、米国、特にシリコンバレーでは、旧来型のビジネスゲームの変革(ゲームチェンジ)を起こすための戦略的な取り組みとしてエコシステムが位置付けられている。
参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0_(%E3%83%90%E3%82%BA%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89)

発展途上国では、貧困層が安全でコスト効率の高い送金をするのに二つの大きな障壁が見られる。正規の電子金融手段へのアクセス、そして国際送金に伴う高額なコストだ。アクセス拡大に関しては、モバイルバンキング(携帯電話から金融サービスを利用すること)により誰もがアカウントを設立できるようになってきた。コスト削減に関しては、国際決済や、あらゆるサービス(携帯端末、銀行、資金運搬業者いずれにせよ)に必要な決済のインフラを妨害してしまうリスクや限界を常にはらんでいる。それは以下のような問題である。

  • 決済を確定するのに二日以上の遅延が発生する
  • コンプライアンスやマネーロンダリングにおけるリスクの規制が不十分となる
  • 複数の取引先間の送金プロセスが複雑かつ不透明である
  • 送金を可能にするため、通貨間の流動性を担保するのに必要なコストが高い

これらは、貧困層が金融サービスにアクセスするのを阻むばかりか、金融サービス業界のエコシステムの成長を疎外するような、相互運用性に関する非常に大きな問題である。

この課題は広く認識されており、国際的に多様なアクターがこの問題に取り組む姿勢を見せている。例えば、

●政府:新規の決済システムを国家規模で導入することで、どれほどアクセスが広がりコストが削減され、一般利用者に便益があるかを示すことが出来る。メキシコのSPEIや、イギリスのFPS、オーストラリアのNPPなどがその例である。国境を超えた複数国家間での地域の決済システムの展開や、南アフリカ開発共同体(South Africa Development Community)のSIRESS等もこのような流れに伴って行われている。

●企業:民間企業は顧客の金融的なニーズに直接対応することができる。特に、M-Pesaに代表される信用取引や財務取引、XoomやTransferwiseのような送金取引で活気付いている小売市場においてだ。

●技術:ブロックチェーンや分散型台帳に関する新興技術の可能性に、メディア、テクノロジー業界、金融機関が幅広い関心を寄せている

これらに対する解決策としては、広範な相互運用性を担保するのに不可欠な、オープンソース(注2)や中立的な基準を備える決済システムの完備が考えられる。基準というのは、W3CやBISのようなプロセスを中心にした場で共同的にで決定されるものだ。それらを備えた決済システムによって、即時性、エンドツーエンド取引の可視性、決済リスクの低減等が見込まれる。また、様々な地域通貨間の競争率の高い流動性の管理にも役立つ。こういった性能によって、即時性や、最低限のコストで二者間の口座を結ぶ直線的なプロセスを実現することが可能になる。新規技術によって、こういった性能の導入を加速化させることができるようになるろう。

注2:プログラムを無料で配布し, ソースコードも添付して改変・再配布なども自由とする考えhttp://ejje.weblio.jp/content/open+source

レベル1プロジェクト(Level One Project)が強調しているように、決済は金融システムへアクセスするための重要な結合部分である。つまり、決済の根本構造を改善することで、金融のエコシステム全体に迅速に大きなイノベーションを起こすと考えられるのだ。金融関係者は、人口の最貧困層にも継続的に貢献できる有益な新規ソリューションを提供することができるようになる。

リップル社では、分散した金融テクノロジーがこのようなイノベーションを円滑にすると考える。我々は長期に亘り、産業定義のオープン・スタンダードに基づいた価値のインターネット化(Internet of Value)の発展を見てきている。これは、現代の情報交換と同様、迅速で簡単に、そして安く金銭交換が可能な世界で起きている。このビジョンは、特定の重大問題に焦点を当て、確実なソリューションを提供することでスタートする。我々は、今後待ち受けている機会、そして国際的な決済インフラを改善するべくエコシステムのパートナーと協働していくことを大いに期待している。

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