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Microsoft’s Marley Gray: Ripple and ILP Will Be the Fabric of Multi-Chain Future

マイクロソフト社のAzureのブロックチェーンをサービス(BaaS)戦略として主導するマーレイ・グレイ氏は、「単一のブロックチェーンがあらゆるものを支配することにはならないだろう」と言う。むしろ、グレイ氏は数え切れないほど非常に多くのブロックチェーンが絶えず発展し、反復処理しながら、標準化されたプロトコルを通して相互接続されるような未来を予測している。
グレイ氏はアメリカのマイクロソフト社で金融サービスに関わる技術戦略の責任者を務めている。また、ニューヨークで社のイノベーション研究室も運営している。マイクロソフト社は、先日Azureのクラウドプラットフォームにおいて初めてイーサリアムでのBaaS提供をすることを発表し注目を集めた。そして先週、リップル社とのパートナシップを明かした。
以下のインタビューは、分かりやすさと長さの点から編集されている。
マイクロソフトのように社会的影響の大きい会社が新しい技術に踏み出そうとしているというニュースには非常に胸が躍ります。社としてブロックチェーン技術へ関心を持ち始めたのは最近のことなのですか。
我々は極めて長い間イノベーション研究室でブロックチェーンを検証していたんです。例えば、Colored Coin等です。しかし我々が最も惹きつけられたのは、スマートコントラクトです。決済だけに関連する技術ではないからです。それで、イーサリアムを調査しました。あのプラットフォームで初期構造に取り組むというのは、控えめに言っても大変なものでした。
しかしこの大変さを可能性のようにも感じていました。というのも、この技術を試している我々の顧客も同様の骨の折れる過程を経験していたからです。そこで、全ての過程を合理化する方法が必要でした。必要としているインフラとそれに従属するものをすばやく分立できるような流動的な環境を作り、それをクラウドで実行します。また、それを1クリックで処理できるようにする、ブロックチェーンというサービスは元々そのようにして生まれたんです。私たちはブロックチェーンの実験のために研究室を設立するところから始まり、クラウド上で1クリックでブロックチェーンを作動することができるようになるまで2日間を掛けました。それによりスマートコントラクトの立ち上げから作動までを20分以内に行うことが出来るようになりました。
イーサリアムが初めての試みでしたが、我々は他のブロックチェーンも有しています。実は、この計画の初期の頃にリップルも検討していましたが、その時はリップルの決済方法が我々の想定するモデルにふさわしいか確信がありませんでした。しかし、エコシステムがどのような要素で成立していくのかを学んでいく過程で、リップルが非常に有用であるということがわかってきました。特に、Interledger Protocol (ILP)がシステムに組み込まれた時です。結局のところ、こういったアプリケーションやスマートコントラクトの根本にあるのは決済だということです。
しかし結局は、我々はブロックチェーンに囚われているわけではありません。私たちの目標は明確です。超スケール的に分散したオープンソースのクラウドプラットフォームの結合を達成することです。つまり、いかなるOSやフレームワークも受け入れるということです。スケールできるか?速いか?簡単に覚えられるか?このような環境に適しているか?答えを見つけるにあたってクラウド上でやる方が、データセンターでやるよりもかなり安上がりです。現在我々は様々な選択肢を検討しており、構造上の実験も多く行っています。
まだまだ先のことかもしれませんが、BaaSの顧客としてはどのような人を想定しているんでしょうか。基本的には開発者ですか?
興味深いことですが、金融サービスのトップに最初に接触するのは一般的に開発者です。技術志向が強まっている資本市場で企業と連携している開発者です。これはトレーディングディスクでよく見られる、開発者が全てのミーティングに同行するというものです。このデスクは企業によって主導されますが、根本的な改革は開発者によって管理されます。したがって我々にとっての最初のプレーはDevOpsになります。
すると、組み立てなければならないツールシステムが出てきます。そのツールシステムは、視覚的なシステムを使ってコントラクトを形成できるようにするものです。例えば、Microsoft Officeのように様々な機能をドラッグ&ドロップしたり、ユーザーに易しいインターフェースで様々な設定をすることで、すばやくスマートコントラクトを作成できます。そうすることで、企業人は浮かんだアイデアに沿って機能性のあるものを設計することができ、アイデアが無駄になることもなくなります。そしてその骨組みを肉付けする開発者に繋いでいけます。最終的なビジョンにあるのは、完全なエンドツーエンドサービスです。次の世代のアプリケーションを作るために、我々はあらゆるものに目を向けています。
これは会社からの指示だったのでしょうか?それとも個人的に始めたことだったのでしょうか?
当初は個人的なものだったと言えるでしょう。チームの中での技術者は私しかおらず、他は投資銀行の業務をしています。ここに来る前は、株取引場でアプリケーションの管理をしていました。その経験から、ブロックチェーンの可能性に興味を持っていました。内輪でブロックチェーンの話をするようになった途端に、金融の中心であるニューヨークやロンドンを中心に話題になり始めました。そこから組織的に成長していったのです。現在我々は急激な成長を実感しています。このプロジェクトに携われることを非常に喜ばしく思っています。
現在のブロックチェーンの状況をどのように受け取りますか?
現在、様々な決済ユースケースに絡んだ組合(コンソーシアム)の設立が増えています。特に我々が現在参加しているR3と連携したウォールストリートのコモディティ組合などは、これから重要な役割を担っていくでしょう。こういった組合が増えていくことで、協働が促進され、ステークホルダーにより焦点を当ててどういった技術を適用・発展させたいのかが把握しやすくなるでしょう。
我々はマイクロソフトの強みを生かしてインフラ作りに注力するつもりです。我々自身のブロックチェーンを書くつもりはありません。既に起きているイノベーションを支え、より強固なエコシステムを設計することが我々の役割だと考えています。我々がDockerや他のコンテナ技術にした投資のようなものです。最終段階としては、プラグアンドプレイを発達させて多くの人がこういった技術を素早く繰り返し使用できるようにしたいです。
(おまけ:プラグアンドプレイ (Plug and Play, PnP) は、パーソナルコンピュータ(パソコン)に周辺機器や拡張カード等を接続した際にハードウェアとファームウェア、ドライバ、オペレーティングシステム、およびアプリケーション間が自動的に協調し、機器の組み込みと設定を自動的に行う仕組みのことである。パソコンのユーザビリティ(使い勝手)を向上させる技術の1つ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4)
現在はまだ始まりに過ぎません。今のところ、パブリックネットワークとして存在しているのはビットコインのみです。ビットコインのブロックチェーンを利用することを勧める人もいますが、我々はこれには賛同しません。いくつかの理由から、あまり良い方向にいくとは考えていないからです。しかし、ビットコインは重要な目的を果たしてくれました。それは、ブロックチェーン技術はきちんと機能するということの証明です。しかし、ビットコインは一つのチェーンにすぎません。まだ我々は技術の表面に軽く触れているだけに過ぎないのです。
複数のチェーン技術を想定すると、スマートコントラクトこそが鍵となる要素です。そうなると、異なるチェーンが相互運用できるようにシステム内の接着剤のような役割を果たすILPが必要になってきます。つまり、派生して生まれたチェーンが派生元であるセキュリティと情報交換が出来るということです。こういった情報交換において、お金を動かさなければなりません。その際に必要なのがリップルです。
我々は、リップルとILPが複数のチェーン技術を発展させていく上での根幹となると考えています。その上で、横並びのコンピューターのレイヤーとしてのAzureがあります。このように私達は段階的なマネジメント技術を提供するつもりでいます。データの弾力性に関しては規制のコンプライアンスが存在することをしっかりと確認しなければなりません。我々はこれら全てを網羅する必要があります。
マイクロソフトがリップルの検証ツールを運用していると聞いて、当然ながら我々のオフィスは騒然となりました。ご自身としては今のところどのように感じていますか。
好感触です。我々がやっているのは実はとても簡単なことです。当初はこの大きな機器をバーチャルで作っていましたが、必要ないことに気づいてからは小さくしました。しかし総じて、我々の働きは非常に良いものだと感じています。現在はツールの認証段階※にいます。
※詳細はhttps://ripple.com/build/rippled-setup/#domain-verification
最終的には、複数の検証ツールを運用していくことになるでしょう。
我々はリップルのネットワークにおいて特別な検証ノードであり続けたいと考えています。リップルを信用しているからこそ、エコシステムが正しい方向に発展していくように全力で取り組みたいのです。だからこそパートナーシップは非常に喜ばしいのです。リップルとILPと協働しながら他にどのようなことが出来るかを深めるため、チームメンバーとこれから沢山のミーティングを予定しています。